プリント&カットLX610は印刷とカットを一つの機械で同時に行うことができるラベルプリンターです。
LX610の特徴に、水性の染料インクと顔料インクの2種類が使用でき、6種類のロールメディアがあるという点があります。
インクとロールを使い分けることによって場面にあったステッカーやラベルの作成が可能です。
そこで染料インクと顔料インクをそれぞれのロールに印刷して、違いを比較していこうと思います。
目次
インクの特徴について
LX610にはC(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)のインクとインクヘッドが一体型となったインクカートリッジを搭載しており、K(黒)はCMYを混合した色です。
QRコードやバーコードに使用できるくらい濃い濃度の黒色を印刷できます。
ヘッド不良のトラブルなどもインクカートリッジ交換で解決することができます。
LX610のインクには染料と顔料インクの2種類があります。この2つのインクについて、使用例を交え簡単に説明します。
染料インクのメリット、デメリット
染料インクはダイインクとも呼ばれ、LX610のインクラベルには「DYE」と表記されています。
【メリット】
染料インクにはインクの粒子が細かく水に溶け切っているという特徴があります。
その為インクが印刷物にしっかり染み込み、鮮やかに印刷されます。
例えば、写真や素材の光沢感を残して印刷したい時には染料インクがお勧めです。
また、顔料インクに比べコストが安いのも、使い分ける際の判断軸になると思います。
【デメリット】
デメリットは顔料インクよりも耐水性、耐候性などの耐久性の面で劣ってしまうということです。
また一般的に染料インクは印刷してからインクが乾くまでに時間がかかると言われています。
ですが今回使用するLX610では印刷後すぐに使用することができるので、その場、その時に必要な分を印刷することができます。
顔料インクのメリット、デメリット
次に顔料インクの特徴について説明していきます。
顔料インクはピグメントインクとも呼ばれ、LX610のインクラベルには「PIGMENT」と表記されています。
【メリット】
顔料インクは染料インクとは逆で、インクの粒子がほとんど水に溶け切っていません。そのため、インクが印刷物に染み込まず、表面に留まり文字や色をくっきり印刷することができます。
また速乾性が高いため印刷後すぐに使用することができます。
例えば防犯や煽り運転防止ステッカーのように文字を強調したいとき、値引きシールなどすぐに必要なときに印刷して使えます。ほかには耐水性・耐候性を活かして飲料ボトルのラベルシールや化粧品のラベルにも!
【デメリット】
デメリットは写真を印刷した時に染料インクに比べて色の鮮やかさに欠けてしまうというところです。
光沢紙に染料インク、顔料インクで印刷してみた
農家のラベルで写真や文字を印刷して、それぞれの特徴を見ていきます。
インクの特徴を比較
今回は光沢紙に印刷してみました。
染料インク、顔料インクともに印刷後すぐに触ってみましたが、手にインクが付きませんでした。速乾性はどちらも問題ないです。
女性の写真を見ていただきたいのですが、染料インクのの方が表情が明るく見えます。
人物などの写真を印刷したいときは染料インクで印刷するのがいいですね♪
次にトマトの写真です。
顔料インクの方が緑が濃いですね!
人の写真と違い赤や緑などの単色が多いため、ハッキリとした発色が表現されています。
染料インクを見てみると青の部分が紫色のような色合いになっています。
やはり文字などの単色の部分を見ると顔料インクのハッキリとした色合いがわかる気がします。ですが、そこまで大きな違いは見られません。
光に当ててみます。顔料インクは染料インクと比べるとマット感が少し出るような感じがします。
耐水性を確かめてみます。水や耐候性に強い光沢PPに印刷していきます。
水で指を濡らして軽く擦ってみると、染料インクは滲みがすぐに現れました。
一方、顔料インクは滲みが全く起きません。
耐水性を求める場合は光沢PP×顔料インクの組み合わせで問題ないでしょう!
人の表情などを明るく印刷したい、光沢紙の素材感を活かしたい場合は染料インク。
濃く印刷したい、文字や単色をハッキリ印刷したい場合は顔料インクをお勧めします。
できるだけ濃い黒色(リッチブラック)を印刷するには
可能な限り濃い黒色(リッチブラック)を印刷する方法をご紹介します。
まず、印刷したいデータをCMY70%、K100%で作成します。
そして、「ファイル」から「プリント設定」を開きます。
次に「プロパティ」を開きます。
最後に「Print Quality」を最大の4、「Ink Saturation」を100に設定し「OK」をクリックしたら完了です。
実際に染料インクで印刷してみたのがこちらです。
スミベタとリッチブラックで黒の濃さが違いますね。
重ね合わせるとより違いがわかりますね!
明るく発色される染料インクでもかなり濃いです。
ただスミベタの方は問題なかったのですが、リッチブラックは印刷直後に触れてしまうとインクが伸びてしまいます。速乾性の高い顔料インクでも伸びてしまいました。どちらのインクもリッチブラックを印刷する際はしっかり乾燥させる必要がありますね。
おわりに
染料インク、顔料インクの特徴を見ることができました。
LX610の場合、データに近い色合いを印刷したい、文字やデザインを濃く印刷したい時には顔料インクをお勧めします。
人肌や写真を明るく表現したい、コストを少しでも抑えたい、光沢紙の特徴を活かしたいという場合は染料インクが良いと思います。
まだまだカットの精度など調べたいことはたくさんあるので、これからも調査していきたいと思います!