金属加工や金属彫刻を検討する際、多くの方が「レーザー加工機」を思い浮かべると思います。
しかし、実際に加工された金属を見て、「思ったより彫りが浅い」「彫った部分の色が薄い」と感じる方も少なくありません。
実は、金属加工では「刃物で彫る(機械彫刻)」か「光で焼く(レーザー)」かによって、仕上がりに差が生まれます。
本記事では、金属加工の機種選定時に悩みがちである、「彫刻機(機械彫刻)」と「レーザー加工機」の違いについて実際の加工サンプルの画像とあわせてご紹介いたします。
「レーザー」と「彫刻機」は何が違う?まずは言葉の整理から
これから金属加工や彫刻を始める方を混乱させるのが各機械の呼び方です。
一般的に「名入れや彫刻をする機械」を探す際、まとめて「彫刻機」と呼ばれることが多いのですが、実際には「レーザーを使う機械」「物理的な刃で彫る機械」の2つに大きく分けられます。
本記事では、混乱を避けるために以下のように呼び分けます。
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- レーザー加工機
- 代表機種:Welase、xToolなど
- 仕組み:レーザーの光で表面を焼く・焦がす・削る
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- 彫刻機(機械彫刻)
- 代表機種:M20 X、M40など
- 仕組み:物理的な刃物でガリガリと削る・彫る

「レーザー加工機」と「彫刻機」の特長と違い
「レーザー加工機」と「彫刻機(機械彫刻)」の違いを加工サンプルの写真を比較しながら見ていきましょう!
レーザー加工機
レーザーの光で表面を焼いたり、焦がしたりといった加工を行う「レーザー加工機」は、その性質上、黒色や茶色に加工面を変色させることができます。
表面はなめらかで、物理的な凹凸は少ないのが特徴です。
レーザーの光で加工を行うため、物理的に刃で削る彫刻機と異なり、刃の摩耗の心配がなくランニングコストが抑えられることも大きなメリットです。
他にも、写真のような微細な表現も得意なこと、加工スピードが速く生産性が高いことも特長です。
デメリットとしては、彫りが浅いため、摩擦で加工が消えやすい場合があることが挙げられます。
また、金属の加工面の質感が「プリント」のような表現になることを気にされる方もいらっしゃいます。
下記は、レーザー加工機「Welase」でジッポーに加工を行った際のサンプル画像です。
プリントのような表現や彫りの浅さを実感いただけるかと思います。

彫刻機(機械彫刻)
刃物(カッターやダイヤモンドチップ)を回転またはスライドさせて、物理的に金属を「削り取る」「押し広げる」といった加工を行います。そのため、物理的な深さ(溝)ができ、はっきりと鮮明な仕上がりになります。
彫りが浅く摩耗で加工が薄くなる心配のあるレーザー加工機に対し、彫りが深いため半永久的に消えないことと、加工面のくっきりとした表現が高級感を生みだすことがメリットと言えます。
対して、レーザーでの加工に比べ加工時間が長くかかる場合が多いことや、刃が消耗品であることによりランニングコストがかかってしまうことがデメリットです。
下記は、弊社で取り扱いのある彫刻機「M20 X」と同等の表現が可能な彫刻機で加工したサンプル画像です。
彫りの深さとはっきりとした表現が際立つ仕上がりになっています。

「レーザー加工機」と「彫刻機(機械彫刻)」の選び方とおすすめ用途
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- おすすめ用途
- 大量生産・スピードを最優先したい場合
- 写真・QRコード・微細なデザインを入れたい場合
- ランニングコストを抑えたい場合
- → レーザー加工機がおすすめ!
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- おすすめ用途
- 商品に「高級感」を与えたい場合
- 「塗装」や「メッキ」などの後加工がある場合
- 消えてはいけない文字・デザインの加工を行う場合
- → 彫刻機(機械彫刻)がおすすめ!
【レーザー加工機がおすすめ】大量生産・スピードを最優先したい場合
ノベルティの名入れや、数百個単位の大量生産など、とにかく数をこなす必要がある場合はレーザー加工機がおすすめです。
物理的に刃物を動かす彫刻機とは異なり、レーザーは光の高速移動で描画するため、圧倒的な加工スピードを誇ります。
納期が短い案件や、生産効率を上げて利益率を高めたいビジネスにはレーザーが最適です。
例:企業向け記念品の大量生産、イベント配布用ノベルティ

【レーザー加工機がおすすめ】写真・QRコード・微細なデザインを入れたい場合
レーザーの光は、物理的な刃物よりもはるかに細かい印字ができます。
そのため、刃物では潰れてしまうような「画数の多い漢字」「QRコード」「写真データ」なども、精細に再現可能です。
例:写真入りドッグタグ、QRコード付き銘板、小さな部品への極小文字刻印

【レーザー加工機がおすすめ】ランニングコストを抑えたい場合
レーザー加工機は「光」で加工する非接触加工のため、刃物のような消耗品がありません。
部材コストだけでなく、刃を交換・調整する手間(タイムロス)も削減できるため、長期的な運用コストを大幅に抑えることができます。

【彫刻機がおすすめ】商品に「高級感」を与えたい場合
彫刻機の深く、くっきりとした加工表現は消えにくいだけでなく、名入れの文字や彫ったデザインに立体感を与えます。
この特徴が、商品にレーザー加工機にはない高級感を生み出します。
例:ジュエリー、高級文具、記念品、ノベルティ

【彫刻機がおすすめ】「塗装」や「メッキ」などの後加工がある場合
一般的な塗装の厚みは数十ミクロンありますが、レーザーの黒色印字はそれより薄いため、塗装すると消えてしまいます。
彫刻機なら、塗装の厚みに負けない物理的な深い溝を彫り込めるため、工業用銘板や自動車パーツの製造工程で標準的に採用されています。
例:自動車やバイクのパーツ、のちに色入れカスタムを行う商品(ゴルフ用品、ジッポー他)など

【彫刻機がおすすめ】消えてはいけない文字・デザインの加工
過酷な現場で使われる工具や屋外製品など、表面が擦れて摩耗しても、彫刻機で刻んだ「溝」は半永久的に残ります。
「表面の色」ではなく「形状」で文字を残すため、何十年経っても判読可能な耐久性があります。
例:屋外使用のサイン・銘板、建築用工具、ドッグタグなど

まとめ
「レーザー加工機」と「彫刻機」の特徴や違いをまとめます。
| レーザー加工機:WeLase FIBER | 彫刻機(機械彫刻):M20X | |
|---|---|---|
| 代表機種 | ![]() |
![]() |
| 仕組み | レーザー光による加工 | 刃による物理切削 |
| 深さ | 浅い | 深い |
| 見た目 | マット 黒・茶色に変色 |
金属光沢が残せる はっきりと鮮明 |
| 耐久性 | 表面摩耗で薄くなる可能性あり | 半永久的(摩耗に強い) |
| おすすめの加工用途 | 写真表現 QRコード 大量生産の商品 |
高級ギフト 屋外銘板 工業用部品 |
| サンプル画像 | ![]() |
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