シルクスクリーン印刷で2つの色を使って印刷することを2色刷りといいます。基本的にはそれぞれの色用に2つの版を用意しますが、工夫次第で1つの版でも2色刷りができるのです!
版(スクリーン / 紗)とは、網状のシルクスクリーンを張ったフレームのことです。デザイン部分のみインクが通るように穴をあけ、そこ以外は穴を埋めることで印刷ができます。
今回はシルクスクリーンキットの「Tシャツくん」を使って1枚版での2色刷りに挑戦します。「Tシャツくん」であれば通常難しい位置合わせも簡単にでき、ずれることが少ないので便利です。それでは早速見ていきましょう!
目次
Tシャツくんとは
Tシャツくんとは、短時間で版が作れるスクリーン、簡単に張れるスクリーンフレーム、印刷クランプなどがセットになった、おうちプリントにおすすめのシルクスクリーン印刷キットです。
シルク印刷に必要なものが揃っているので、届いたその日から直ぐにシルクスクリーンプリントが楽しめます。
本来シルクスクリーンの製版には大掛かりな設備や多くの手順が必要ですが、Tシャツくんを使えばあっという間に版を作ることができます。
そして、新しくなったTシャツくんミドル(T-M22)は従来機よりもパワーアップ!露光用のライトがブラックライトからUV-LEDに変わり、露光(版に光をあてる)時間がわかりやすくなりました。デザインに応じて対応するボタンを押すだけ。版に光を当て終わったらタイマーがお知らせしてくれます。
Tシャツくんで製版する
Tシャツくんは手書きイラスト、プリンターで印刷した原稿のどちらからでも版を作製できます。
今回は印刷した原稿を用意しました。
スクリーンをフレームに張り、用意した原稿と合わせます。
スポンジマットが一番上になるようにTシャツくんにセットしてスイッチを押すと、Tシャツくん内のライトが光ります。
指定の時間光を当てることで、原稿の絵柄がない部分は固まり、絵柄のある部分は水で抜ける状態になっています。
水をつけたブラシでこすると、原稿の絵柄が浮かび上がります。
版ができました!こちらの版は後ほど使用します。
シルクスクリーンで2色刷りする方法
それではいよいよ2色刷りに挑戦します。
2色同時に刷る方法
別の色で刷りたい部分が離れている場合は、同時にインクを乗せて刷ることができます。
スキージ(インクを均等に刷るための道具)を動かす方向が互いの色を邪魔しない向きになるようにインクを乗せて刷りましょう。
それぞれの色がきれいに刷れました!
紙やマスキングテープを使う方法
別の色で刷りたい部分が近い場合は、プリントしたくない部分に紙(小さい範囲ならマスキングテープでも可)を敷いた状態で刷ります。
1色目を刷ります。
版の位置が変わらないようにフレームを手やクランプでしっかり固定しておくのがポイントです。
1色目を刷ったら一旦版を上げ、裏側についたインクを濡らしたティッシュなどでふき取ります。
インクのふき取りを楽にするために、プリント範囲の狭い色から刷ることをオススメします。
この時、プリントする物を汚さないように気をつけて下さい。
下に敷いていた紙(マスキングテープ)を剥がします。
1色目が乾いたらその上に紙を乗せて、2色目がかからないようにします。
版をおろして、2色目を刷ります。
きれいに刷れました!
印刷後は乾燥させ、あて布(紙)をして焦がさないようにアイロン(150℃)で1分以上定着してください。
1枚のスクリーンで100回刷れる!?
Tシャツくん専用スクリーンは、1枚で100回刷れるとされています。
せっかく作った版、たくさん使わなきゃもったいない!
同じデザインでも、1色で刷ったり、2色で刷ったり、色の組み合わせを変えてみたり……
もちろん、上記の方法を繰り返せば3色以上で刷ることもできます。
様々な色の組み合わせを楽しんでみてはいかがでしょうか!
おまけ リルカラーで紙にもプリント!
今回使用したインクは「リルカラー」というシルクスクリーン用水性インクです。
水性インクには、
- 自然乾燥が可能(アイロンで圧着するとより洗濯堅牢度が高くなります)
- 生地の通気性を損ねにくい
- 色が柔らかい
- 紙にも刷れる
などの特徴があります。
ということで、先ほどと同じ版を使って紙にも刷ってみました!
インクが紙に滲んで、レトロな仕上がりになりました。
布製品だけでなく紙にも刷れるなんて、ものづくりの幅が広がりますね!