新しくウェアプリント事業を始めたい方や、ガーメントプリンターの買い替え・増設を検討している方から、DTF専用機とDTG(ガーメントプリンター)どちらの機械を導入するかでよくご相談をいただきます。
今、脚光を浴びているDTF印刷。専用機ではなくガーメントプリンターでも実現できることはご存知でしょうか?
DTF印刷には前処理加工不要、位置合わせが簡単、一度に複数のデータを出力できるなど多くのメリットがあります。
今回は、直接Tシャツに印刷できるガーメントプリンターを使ってDTF転写プリントをするメリットについて、印刷手順を交えながらご紹介します。
DTF印刷・DTG印刷とは
はじめに、DTF(Direct To Film)とDTG(Direct to Garment:ガーメントプリンター)について、簡単におさらいします。
DTF印刷
DTFフィルムと呼ばれる特殊なフィルムにプリンターで直接出力し、ホットメルトパウダーと呼ばれる粉をかけて転写シートを作るプリント方式です。ホットメルトパウダーが溶けて糊の役割を果たします。
印刷できる素材が幅広く、作業効率も高いため、今後の印刷方法の主力になると予想されています。
DTG印刷(ガーメントプリント)
DTGはTシャツなどの衣服に直接インクを吹きつけてプリントする方法です。
黒色のTシャツなどの濃色生地やポリエステル生地の場合は、前処理剤と呼ばれる液体を塗布(前処理)する必要があります。
生地の風合いを活かした仕上がりが人気で、Tシャツプリントのオーソドックスな印刷方法です。
ガーメントプリンターで行うDTF印刷の最大のポイントは、デザインや印刷したい素材に応じて印刷方法の使い分けができること。
DTF転写印刷と直接印刷、両者のメリットをいいとこどりできるので、ガーメントプリンターでこそ対応力のあるビジネスが叶います。
今回使用した機種はEPSON社の「SC-F2250 」。国内初のDTF印刷標準対応のガーメントプリンターです。
人気機種「SC-F2150」の後継機であり、本業の直接印刷(DTG印刷)の印刷速度や使いやすさの向上に加え、DTF印刷にも対応したハイブリッドな機械です。
意外と簡単。DTFフィルムの印刷手順
ガーメントプリンターでDTF印刷を行う場合、Tシャツに印刷する時同様にDTFフィルムに直接印刷します。
その後、印刷したフィルムにパウダーを塗布し、焼き付ければ完成です。
文章で見ると複雑に思えますが、たったの3ステップでDTFフィルムが出来上がります。
手順1 ガーメントプリンター本体にDTFフィルムをセットして印刷する
印刷時にシートがずれてしまわないようにマスキングテープなどで固定して印刷します。
印刷に使用したシートは【DTF-TF22】。ユーロポートオリジナル商品で、ガーメントプリンター専用のDTFフィルムです。
▲印刷の様子。先にカラーを印刷し、生地に転写した際に下地となる白インクを後から印刷します。
「SC-F2250」、「SC-F1050」の操作ソフト「Garment Creator2」は「DTFフィルムモード」が標準搭載されています。
DTG用のデータをそのままソフト内でDTF用データに変換できます。
また、シートの範囲内に複数のデータを面付することができるので、複数データも一度に印刷できます。
印刷効率が高いのもDTF印刷の特徴です。
手順2 印刷したシートにホットメルトパウダーを塗布する
ホットメルトパウダーの塗布方法は手作業と機械を使用する方法の2種類です。
【手作業で塗布する方法】
衣装ケースなどの箱にDTFシートとパウダーを入れ、左右に傾けパウダーを塗布します。
箱を用意するだけで簡単にできる方法ですが、手作業で行うのでムラが出やすい塗布方法でもあります。
【機械で塗布する方法】
シートを機械にセットし、レバーを引いてパウダーを塗布します。
つまみを回すと機械が振動して余分なパウダーを振るい落とします。
手作業と比較して、短い時間で均一にパウダーを塗布できます。
また、パウダーが飛び散る心配がなくほこりも混ざりにくいので、生産性や安定した品質を求める方には機械の使用がおすすめです。
手順3 シートを加熱しホットメルトパウダーを溶かし固める
DTFフィルム用のオーブンにパウダーを塗布したシートをセットし焼き付けます。
塗布したホットメルトパウダーが溶けることで糊の役割を果たします。
▲ユーロポートオリジナルオーブン「BAKE」は温度や時間がデジタル表示で操作しやすい
シートの完成
▲DTG印刷(直接印刷)同様に写真などのフルカラー表現はもちろん、グレーなどの中間色の発色もきれいに仕上がります。
▲完成したDTFシートは必要な大きさにカットして使用できます。
完成したDTFシートを熱プレス機でTシャツなど生地に転写すればウェアの完成です。
冷めてから転写シートを剥がすので、技術がなくても簡単に転写できます。失敗が少なく、商品のロス減少にも貢献します。
▲DTF印刷ならTシャツの袖など普段位置合わせしにくい部分への転写も簡単です。
また、前処理加工なしで黒や紺の濃色生地、ポリエステル生地へ印刷できます。
▲A3サイズのシートに8データを面付し、1度に印刷。135mm×70mmの小ぶりなポーチも効率的に作製できます。
まとめ
ガーメントプリンターの苦手な部分を補うようなメリットを持つDTF印刷。
DTF印刷に対応しているガーメントプリンターはまさに二刀流。1台でマルチに活躍します。
ガーメントプリンターでのDTF印刷は、一見複雑に見えますが方法自体はシンプルです。
洗濯機の使用ももちろんOK。DTF印刷・DTG印刷ともに選択堅牢度の最高級を取得しています。
サンプル用途やイベントウェア作製をはじめ、アパレル用途まで幅広くお使いいただけます。
はじめてのウェアプリントにおすすめの導入プラン
ガーメントプリンターとプレス機に加え、DTFシート作成用のオーブンも導入することで対応力のあるビジネスをコンパクトに始めることができます。
この他にもおすすめなコンパクトなセットパッケージから、ビジネスのステップアップまでお客様の用途に合わせたセットを用意しております。
また、ユーロポートではEPSON社製のガーメントプリンターのほかに、brother社のGTXシリーズやリコー社のRiシリーズもお取り扱いしております。複数メーカーでの仕上がりの比較も可能です。
- Tシャツやトートバッグなど布への印刷ができる機械の導入を考えているけど、どれを選んでいいかわからない
- ガーメントプリンターが実際に動くところや仕上がりを見てみたい
- ガーメントプリンターやトナープリンターの買い替えを検討していてDTF専用機の導入と悩んでいる
などなど、お悩みの方はまずはお気軽にご相談ください。