近年、グッズ制作やノベルティ制作の現場で注目を集めている新しい印刷技術「UV-DTFプリント」。
シールのように貼るだけで、金属・ガラス・プラスチックなど多様な素材にフルカラーで印刷できるこの画期的な技術は、従来のUVプリントやシルク印刷では難しかった曲面や凹凸面への印刷も可能にし、オリジナルグッズ製作に革新をもたらしています。
本記事では、UV-DTFの仕組み、印刷工程、対応素材、活用事例、他の印刷方式との違い、導入時の注意点までをわかりやすく解説。
「UV-DTFとは何か知りたい」「どんな素材に使える?」「他のシステムとの違いは何?」という方に向けて、導入のヒントをお届けします。
UV-DTFプリントとは?
UV-DTF(UV Direct To Film/UV Direct Transfer Film)プリントは、「インレタ」「デカール」「UV転写シート」とも呼ばれる今注目の印刷方法です。
専用のフィルムにUVインクで印刷後、シールのように素材に貼り付ける(転写する)だけで、さまざまな素材に簡単にプリントができます。従来のUVプリントでは難しい、凹凸のある素材の表面にもプリント可能です。
UV-DTFなら金属、プラスチック、ガラスなどに耐久性と柔軟性を両立しながらプリントが行えます。
UV-DTFの特徴
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①さまざまな場所に印刷できる
段差や曲面など、従来の印刷方法では難しかった素材や場所にも印刷が可能です。
印刷可能なメディアや場所の範囲が広がり、デザインの幅も広がります。
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②印刷可能な素材が幅広い
プラスチック、ガラス、金属、鏡、陶器など、従来インクが乗りにくかった素材にも印刷できます。
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③貼るだけ簡単、誰でも印刷できる
印刷したシートをシール感覚で素材に貼り付けるだけ。印刷から転写までの手順がシンプルです。
位置決めを直感的にできます。
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④高級感のある立体的な仕上がり
光沢感のある重厚な仕上がりで、製品にさらなる付加価値をもたらします。
UV-DTFの活用事例
UV-DTFはプラスチックやガラス、金属、陶器など幅広い素材に対応でき、段差や曲面にも施工可能なため、さまざまな既製品への印刷に最適です。
小ロットのオリジナルグッズや店舗用ノベルティ、ブランディング商品など、差別化された商材展開をしたい方にとって、内製化の大きな武器となるシステムです。
UV-DTFプリントのメリット・デメリット
他の印刷システムとの比較
UV-DTFプリントは、印刷の作業工程の少なさや印刷できる素材の幅広さにおいて、他の印刷システムより優位性を持っています。
オンデマンド印刷のような小ロットから大ロットまで幅広く対応し、受注してから短い納期で製品を作製することができます。
UV-DTF | 昇華転写プリント | 溶剤インクジェット | シルクプリント | |
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製版 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
フルカラー印刷 | ◎ | ◎ 白インクなし |
◎ | 単色向き |
曲面印刷 | ◎ | ◎ | △ ワンポイントで可能 |
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作業工程 | シート印刷→アプリケーション→貼付 | 転写紙印刷→熱転写 | 印刷→カット→カス取り→貼付 | 製版→印刷→乾燥 |
剥がれにくさ | 〇 | ◎ | △ | 〇 |
対応素材 | プラスチック・金属・ガラス・革製品・生地※など | 専用素材(ポリエステルコーティングされているもの)のみ | プラスチック・金属・ガラス・生地など | プラスチック・金属・ガラス・生地など |
生地への印刷には専用の機械が必要
UV-DTFプリントのデメリット
初期費用が比較的高額
機械本体の価格が数百万円以上する場合もあり、新規での導入時に負担になる場合がございます。ただし、リースや補助金など導入支援制度を活用することで、初期費用を抑えることが可能です。
将来性の高い技術を早期に導入することで、差別化や新たな収益モデルの構築にもつながります。
機種ラインナップについて
UV-DTFはまだ新しい注目技術であるため、現在のところ対応機種は限られていますが、今後の市場拡大とともにラインナップの拡充が期待されています。
現段階で導入を検討・実施することで、最新技術のアーリーアダプターとして市場優位性を獲得できるチャンスでもあります。
「他社に先んじてグッズ展開を広げたい」「自社のプリント体制を強化したい」とお考えの方にとっては、先行導入が大きなアドバンテージとなるでしょう。
UV-DTFプリントの印刷方法
2種類の印刷方法
UV-DTFプリントには、2種類の印刷方法があります。
①転写用のフィルムに粘着がついているタイプ
例)MIMAKI「UJV300DTF-75」
②粘着のあるインクを使用するタイプ
例)ローランドDG「MGシリーズ」に搭載可能なデカール用プライマーインク
作業工程
UV-DTFプリントでは、デザインを印刷したフィルムを対象物に貼り付けるだけで簡単に転写できます。
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①印刷
専用のフィルム(シート)にデザインをプリント -
②圧着
機械でアプリケーションを圧着 -
③貼り付け
加飾したい対象物にデザインを貼り付け擦る -
④転写
フィルムを剥がして完成
UV-DTFに関するよくあるご質問
どのような素材に貼れますか?
- プラスチック、アクリル、ガラス、金属、木材、皮革などの幅広い素材に転写できます。布など生地へ転写できる機種もございます。
UV-DTFはタンブラーのような円筒素材に貼れますか?
- 可能です。タンブラー、ボトル、小型家電などの緩やかな曲面への転写や段差への転写が可能です。
ただし、球体のような三次曲面や激しい凹凸のある表面への転写は難しい場合がございます。
- 可能です。タンブラー、ボトル、小型家電などの緩やかな曲面への転写や段差への転写が可能です。
UV-DTFは摩擦や水に濡れても剥がれにくいですか?
- UV硬化インクを使用しているため、耐摩擦性や耐水性に優れており、数年間の耐久性が期待できます。ただし、食洗器などのご使用には注意が必要です。
「スーパーインレタ」との違いは何ですか?
- 印刷に使用する機械と一度に作成できる量が異なります。
スーパーインレタ…フラットベットタイプのUVプリンターを使用し、インレタシートにデザインを印刷します。
ラミネーターもしくは手動で印刷したシートにアプリケーションフィルムを貼り合わせて転写シートを作製します。一度の印刷でA3サイズのシート一枚を作製できます。UV-DTF…UV-DTFプリンターを使用し、専用のロールシート(フィルム)にデザインを印刷しアプリケーションを貼り合わせます。
複数デザインの面付が可能で、一度に大量に印刷することができます。
- 印刷に使用する機械と一度に作成できる量が異なります。
「フラットベットUVプリンター」との違いは何ですか?
- 印刷できるメディアの形状や作業工程が異なります。
フラットベットUVプリンター…平坦で滑らかな表面の素材の印刷に向いています。素材に直接インクを吹き付けるので、機械に素材をセットするだけで完成します。
UV-DTF…高低差のある素材や複雑な形状の素材、高さのある素材の印刷におすすめです。印刷後に手作業での転写作業が必要です。
- 印刷できるメディアの形状や作業工程が異なります。
「UV-DTF」と「DTF」は同じですか?
- 違います。
UV-DTFとDTFの対象物への転写方法は同じ「Direct to Film」ですが、印刷できる素材やインク、定着方法が異なります。
UV-DTF(UV Direct to Film)…プラスチック、金属、ガラス、などの硬い素材への転写に適しています。
紫外線で硬化するUVインクを使用します。素材への転写時に熱圧着を必要としません。生地への転写が可能な機種もございますが、仕上がりはDTFプリントとは異なります。DTF(Direct to Film)…Tシャツやトートバッグなどの生地への転写に用いられます。
水性顔料インクを使用し、ホットメルトパウダーと呼ばれる糊を溶かして素材に熱で定着させます。印刷面には柔軟性があります。
- 違います。
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