2025年12月11日(木)、東京国際フォーラムにて「MIMAKI 50th アニバーサリー・プリンティング・フェア」が開催されました。
本イベントでは、ミマキ製品の機械展示ではなく、実際にミマキ製品を導入し、プリントビジネスを展開している企業による制作物・サンプル展示を中心に構成。
多様な業種・用途における「プリントの活用事例」を、成果物そのものを通じて体感できる場となっていました。
本記事では、当日会場にて取材を行った10社の企業インタビューを通じて、それぞれの事業内容や導入背景、ミマキ製品の具体的な活用方法についてご紹介します。
プリントビジネスの現場で、実際にどのように機械が使われ、どのような価値を生み出しているのか。そのリアルな声をお届けします。
目次
株式会社ミニチュアイメージ様
事業概要
人物やモノを3Dスキャンし、ミニチュアフィギュアとして制作する事業を展開。
もともとはフィギュア製造のみを行っていたが、顧客の声をきっかけに撮影用スキャナーを自社開発。
現在は撮影からフィギュア化までを一貫して行っています。

導入製品
- 3DUJシリーズ(3Dプリンター)
インタビュー
- 人物以外のものもミニチュア化できるのでしょうか?
- はい、人物だけでなく「モノ」も対応しているんですよ。
実際にお客様からお送りいただいたものをスキャンして、ミニチュア制作することも可能です。思い出の品やぬいぐるみなどを、データとして残したり形にしたりする用途でも使われていますね。 - スキャナーの販売も行っていると伺いました。
- そうなんです。せっかく自社で開発したスキャナーなので、自分たちだけで使うよりも撮影ビジネスとして広げた方が面白いと考えまして。
「現地での撮影はお客様(導入企業)が利益を出し、難しいデータ編集や出力は当社が担う」という、お互いにメリットがある形で展開しています。 - 今後、どのような価値を届けていきたいですか?
- スマートフォンの中に眠っている写真や何気ない瞬間を、「立体として残せる価値」をもっと広げていきたいですね。
データとして残すことと、実際に形にすること。この両方を大切にしていきたいと思っています。
取材をさせていただいた感想
「撮影ビジネスとして広げたほうが面白い」という言葉が印象的でした。
自社の技術を囲い込むのではなく、シェアして市場を作る姿勢は非常に勉強になります。
株式会社テルミエンタープライズ様
事業概要
Tシャツを中心とした衣類へのプリント加工全般を手がける企業。
DTFプリンターを主軸にしつつ、長年培ってきた熱転写シートのノウハウを活かし、案件ごとに最適なプリント方法を選択しています。

導入製品
- TxF300-75シリーズ(DTFプリンター)
- ミマキ製 溶剤プリンター
- ミマキ製 昇華プリンター
- ミマキ製 カッティングプロッター
インタビュー
- DTFプリンターはどのような基準で使われていますか?
- Tシャツの依頼が来た際に、色味やデザインを見て「これならDTFが合うな」と判断したものに使っています。
特殊な色表現など、条件が合わないものまで無理にDTFでやることはありませんね。 - すべてをDTFで対応しない理由を教えてください。
- もともと熱転写シートを扱ってきたので、特殊な表現や条件によっては、そちらの方が仕上がりが良い場合もあるからです。
あくまでDTFは「選択肢のひとつ」という位置づけで考えています。 - プリント加工で大切にしている考え方は?
- 機械ありきではなく、最終的にお客様にとって一番良い仕上がりになる方法を選ぶことです。
そのために、DTFも転写シートも使い分けています。
取材をさせていただいた感想
「機械ありきではなく、仕上がり重視」。
長年プリント業に携わってきたプロフェッショナルならではの、機械に対するフラットで誠実な姿勢を感じました。
株式会社トマト様
事業概要
日暮里を拠点に、布(生地)の卸売・小売を行う企業。
生地そのものの販売に加え、昇華転写プリントを用いたオリジナル生地の制作・販売や、アパレル向けのプリントオーダーにも対応しています。

導入製品
- TS330シリーズ(昇華プリンター)
- JV300シリーズ
インタビュー
- TS330では、どのような形で生地を制作されていますか?
- 生地にプリントを行い、そのプリントした生地を販売しています。
また、アパレル様などからオーダーをいただいて、指定のデザインを生地にプリントすることもありますよ。 - 店頭でもオリジナル商品を販売されているのですか?
- はい。自社のオリジナルプリント生地を店頭で販売しています。
プリントした生地をあくまで「素材」として使っていただく形ですね。 - TS330を使っていて良いと感じる点は?
- やはりコンパクトなところですね。
ワンフロアでも十分に設置・運用できていますし、細かい表現がきれいにできる点も良いと感じています。
取材をさせていただいた感想
日暮里という繊維の街で、プリント技術を「素材の魅力」に変えて提供されている点がユニークです。
超大型の機械を扱うことが多いテキスタイルの中では、省スペースな機種選定も都心ならではのポイントだと感じました。
東京リスマチック株式会社様
事業概要
印刷業を主軸とし、紙媒体を中心とした各種印刷物を手がける企業。
その中で、ミマキ製品による出力を活用した制作(ノベルティ等)にも取り組んでいます。

導入製品
- UJFシリーズ(UVプリンター)
インタビュー
- ミマキのUVプリンターは、どのような位置づけで使われていますか?
- 弊社は印刷業がメインなので、直接関係しないお仕事も多いのですが、出力が必要な部分ではミマキさんの機械を使って作業しています。
- UVプリンターでは、どのような商材を制作されていますか?
- ノベルティ系が多いですね。
具体的には、アクリルキーホルダーなどが中心になっています。
取材をさせていただいた感想
紙媒体のプロフェッショナルが、立体物やノベルティ製作の領域でもUVプリンターを活用されている事例です。
印刷の幅を広げるツールとして定着している様子が伺えました。
株式会社さくら製作所様
事業概要
埼玉県越谷市にて、50年以上にわたり節句人形(屏風や飾り台)の製造を手がける企業。
木工加工による成形から塗装までを自社内で一貫して行えるのが特徴です。

導入製品
- UJF-7151 Plus II(UVプリンター)
インタビュー
- UVプリンターを導入しようと考えたきっかけは?
- もともと屏風の「絵」の部分は外注していたんですが、職人さんの高齢化もあって「この先も続けていけるのか?」という不安が出てきたんです。
それなら、いっそ自社でできないか?というのがスタートでした。 - 実際にミマキを選ばれた決め手は何でしたか?
- ショールームでデモンストレーションを見た時、「こういうこともできますよ」とかなり具体的に提案してもらえたのが大きかったですね。
正直、提案の「押し」が強かったのも印象に残っています(笑)。でもそれだけ熱心だったということですね。 - サイズ感は製品に合っていましたか?
- ばっちりでした。
導入した「UJF-7151 Plus II」は、当社が扱っている屏風や飾り台にちょうど良いワークサイズだったんです。
取材をさせていただいた感想
外注先の高齢化という切実な課題を、内製化によって解決された好事例です。
「提案の押しが強かった」というエピソードには、メーカーとユーザーの信頼関係を感じました。
また、独自に開発されていたUVを活用した箔表現には驚かされました。
シード株式会社様
事業概要
サッカーやバスケットボール、野球を中心としたスポーツユニフォームのOEM製作を行う企業。
生地へのプリントから縫製までを自社で行い、ウェアとして仕上げる一貫生産体制を構築しています。

導入製品
- ミマキ製 昇華プリンター
- モンティ(輪転機)
- ミマキ製 UVプリンター
インタビュー
- ミマキのプリンターは、どのような用途で使われていますか?
- スポーツユニフォームのプリントがメインですね。
サッカーやバスケット、最近では野球といったスポーツ系ユニフォームを中心に作っています。 - ミマキのプリンターで、特に評価している点はどこですか?
- プリントの鮮明さです。
企業ロゴなどを入れることが多いので、再現性の高さや仕上がりの安定感は信頼できると感じています。 - 新たに導入されたUVプリンターについて、今後の活用イメージは?
- まだ導入したばかりですが、これからどう活かしていくかワクワクしています。
スポーツ分野で、これまで作れなかった新しい商材の開発なども検討しているところです。
取材をさせていただいた感想
「ロゴの再現性」はスポーツユニフォームの命。
そこを評価いただいている点は、導入を検討されている方にとっても心強い声だと感じました。
鈴木アド・プロセス様
事業概要
旗や幕を中心に、用途に応じた各種印刷物の製作を行う印刷工場。
のぼりや幕、ワゴン用装飾などのディスプレイ関連から、Tシャツなどのウェア製作まで幅広く対応しています。

導入製品
- ミマキ製 昇華プリンター
- ミマキ製 DTF対応プリンター
インタビュー
- 昇華プリンターでは、どのような商品を制作されていますか?
- かなり幅広く対応していますよ。
のぼりや幕といった旗関係の印刷から、ワゴン用の装飾、ロールアップまで様々ですね。 - DTFプリンター導入の背景について教えてください。
- もともとは昇華プリンターのみでやっていたんですが、フルカラーの需要が増えてきたことや、最近の流れとしてDTFが主流になってきている背景があって導入しました。
- DTF導入によって、対応できる素材は広がりましたか?
- そうですね。
ポリエステルだけでなく、いろいろな生地に対応できるようになったと実感しています。
取材をさせていただいた感想
時代の流れやトレンドに合わせて、昇華転写だけでなくDTFも柔軟に取り入れられている姿勢が印象的でした。
複数の武器を持つことで、対応力が大きく向上しているようです。
有限会社イデア様
事業概要
キャラクターグッズを中心とした雑貨商品の企画・製造および輸入業を行う企業。
アクリルグッズや生地への印刷など、多種多様なキャラクター雑貨を手がけています。

導入製品
- UJF-7151 / 6042 / 3042(UVプリンター)
- UJV300DTF-75(UVDTFプリンター)
インタビュー
- 複数サイズのUJFを導入されていますが、どのように使い分けていますか?
- インクの種類や印刷サイズ、生産量を見て使い分けていますね。
「UJF-7151」はアクリル等の量産、「UJF-6042」はソフトインク用、「UJF-3042」は部分的な印刷や小サイズ用、といった形です。 - 新しく導入されたUV-DTFの活用予定は?
- 「同じ形で名前だけ変えたい」といったご要望に対して、直接印刷するよりもシールとして貼る方が効率が良いケースがあるんです。
また、これまで難しかった曲面への対応も可能になるので、使えるアイテムの幅が広がると考えています。 - 今後の展開について教えてください。
- UVDTFを活用してグッズへの加飾だけでなく、シールとしてそのまま販売するという可能性もあると思っています。
取材をさせていただいた感想
驚いたのはその保有台数と使い分けの緻密さです。
新技術であるUV-DTFも早速導入されており、常に新しい表現方法を模索し続けるクリエイティブな現場でした。
株式会社田中卒塔婆WORKS様
事業概要
卒塔婆や木札など仏具の製造・販売を本業としつつ、卒塔婆の原料であるモミの木を活用した新事業を展開。
モミ材を使ったインテリアグッズや、インバウンド向けのお土産グッズ(絵馬、マグネット等)の企画・製造・販売を行っています。

導入製品
- UJF-6042(UVプリンター)
- UJF-7151(UVプリンター)
インタビュー
- UVプリンターではどのような商品を制作されていますか?
- インバウンド向けの商品が中心ですね。
絵馬、マグネット、ポストカード、キーホルダーなどに印刷を施したうえで、社内でレーザーカットなどの加工を行い、お土産商品として仕上げています。 - 数あるプリンターの中で、ミマキを選ばれた理由は?
- 導入前に他メーカーの機械もいくつか見て比較検討しました。
その中で、木材への印刷という点で見るとミマキさんの方が相性が良いと感じたんです。
サンプルを見比べた際も、発色がきれいに出ている印象がありましたね。
取材をさせていただいた感想
「卒塔婆」という伝統産業と「UVプリント」というデジタル技術の掛け合わせが非常に興味深いです。
木材への印刷品質にこだわって選ばれたという点は、同じ素材を扱う方にとって参考になるはずです。
三鷹製版株式会社様
事業概要
愛知県を拠点に、工業機器メーカー向けの銘板(パネル、定格銘板など)製造を主に行う企業。
事業再構築補助金を活用して大型UVプリンターを導入し、本業とは異なるサイン・ディスプレイ領域での活用を模索しています。

導入製品
- JFX600シリーズ(フラットベットUVプリンター)
インタビュー
- JFX600を導入された目的を教えてください。
- 本業の銘板製造では扱わない大型サイズ(2500×1300mm)に対応できる設備を導入し、新しい事業ができないかと考えたのがきっかけです。
- 新しいプリンターの位置づけは?
- 本業の銘板とは異なる「サイン・ディスプレイ・看板」の領域に近いと考えています。
自社商品は持っていないため、このプリンターを活用していただける業者さんを募りながら稼働させています。 - 新規事業として、意識されていることはありますか?
- 機械自体の価格もそうですし、維持費もそれなりにかかります。
決して安い投資ではないので、できるだけ稼働率を上げたいという思いはありますね。
まずは機械を使ってもらうところから始めて、その中で新しいアイテムや事業につなげていきたいと考えています。 - ミマキのプリンターで、特に評価している点はどこですか?
- 印刷スピードの速さですね。
銘板の依頼でも大量ロットにはやっぱり印刷スピードが無いと対応できません。
そういった点でもミマキさんの製品は安心して使用することができます。
取材をさせていただいた感想
補助金を活用して大胆に新領域へチャレンジされています。
自社製品を持たない中で「設備投資を機にサービス提供」からスタートし、徐々に事業を作っていくという堅実かつ柔軟な戦略だと感じました。
プリントされた成果物から見えたMIMAKIの50年とその先
今回の「MIMAKI 50th アニバーサリー・プリンティング・フェア」を通して強く感じたのは、プリントビジネスの裾野の広さと、その可能性の大きさです。
UV、昇華、DTF、大判インクジェットといった定番のプリントシステムに加え、3DプリンターやUV-DTFなどの最新システムを活用した事例まで、多様なビジネスの現場でミマキの技術が使われていることを、実際の成果物とユーザーの声から知ることができました。
当日は約1,000名を超える方々が来場し、ユーザーだけでなく業界関係者の姿も多く見られるなど、プリント業界全体への注目度の高さを実感するイベントでもありました。
50周年という節目の年にふさわしく、ミマキが長年にわたり築き上げてきた技術力と信頼、そしてそれをビジネスへと昇華させてきたユーザーの存在を、あらためて感じさせられました。

ユーロポートはミマキ社製品を幅広く取り扱う販売代理店であると同時に、UV・昇華・DTF・大判インクジェットといった各種プリントシステムに加え、資材や周辺機器まで含めたトータルな提案が可能です。
さらに、今回ご紹介したような豊富な導入事例と現場の声をもとに、機械選定だけでなく、プリントビジネス全体を見据えたサポートを行っています。
これからプリントビジネスを始めたい方、新たな展開や次の一手を模索している方は、ぜひユーロポートへご相談ください。
あなたのビジネスに合ったプリントシステムと、その活かし方をご提案いたします。











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